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オートバイで速く走ること。
それはその場しのぎの快楽のためではありません、それだけでは代償は大きすぎます。
それでは、なぜ走るのか?
ひとことで言えば、「挑戦」することなのです。
うまくやりすごせば、大変な思いをしないですむ生き方があることは知っています。
でも、そうはしなかった。できなかったのです。
オートバイって面白そうだ。そんな幼い好奇心がすべての出発点でした。
初めてオートバイの免許をとった時、世界グランプリを走ることなど想像もしませんでした。
単純なオートバイの面白さに引き摺られながら、レース経験を重ねているうちに、
「自分の可能性はどこまで広がっているのだろう」と興味の方向が変わってきたのです。
そう思った時が本当の出発だったのかもしれません。
自分とは無関係だと感じていた世界グランプリでさえ、手を伸ばせば届くものだと確信できたのです。
自分が成長するためには、自分が汗をかいていくしか方法がないことも同時に悟ったのです。
気が付くのが少し遅かったかもしれません。
それでも、止まることはありえません。
なぜなら走り続ければ、必らず今より成長した自分を獲得できることが解っているからです。
こんな自分が誰かを触発できることも経験しました。
走ることが自分自身の表現であり、それが自分のまわりの小さな社会との、濃度の高いやりとりなのです。
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小室旭《2003レース報告書より引用》 |
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